「70分」

「70分」て何?という話ですが、これ先日行われた共通テスト数学Ⅰ・Aの試験時間です。途中で色々あった「センター試験」からの改革として実装された試験なわけです。

 

大学受験生のお子様をお持ちでない方向けに簡単にご説明いたしますと、この試験は記述式を導入するだの、英語に民間試験を導入するだの、なんだかんだ言って全受験生および保護者、教員を引っ掻き回した凄まじい始まり方でして。(結局、記述式も民間試験も「見送り」となった事実は周知のとおりです。)

 

さて、そんな共通テストの第2回が先日行われました。その中でも、各ニュースで比較的大きく取り上げられたり、Twitterでも様々な意見が飛び交っている数学1・Aについて。

 

作問者の方には大変失礼ということを重々承知の上で申し上げます。

 

「この試験って何の能力を見たいのですか?」

 

どこぞの大臣様は過日

 

「共通テストは各教科・科目の特性に応じて知能・技能のみならず、思考力・判断力・表現力等を重視して評価を行うもの。私としては全体的に授業での学習のプロセスや日常生活の場面を題材にした問題、さまざまな資料や図から複数の情報を読み取って活用する能力を問う問題等、単なる暗記再生型の出題ではなく、共通テストが意図する能力を問う点がより明確になっている」

 

と音読されておりましたが、一言だけ聞いてみたいのです。

 

「あなたはその数学1・Aの問題を実際に読んで、解いて、その発言をしているのか?」

 

もし、実際に解いていて、そのうえで「受験生の平均38点」を知っていて発言されているのであればもはや何も言うことはありません。速やかに次の大臣に席を譲るべきだと私は思います。

 

受験生のレベルが上位~下位までかけ離れていることはこの仕事ですから身をもって知っています。ただ、今回の試験は公立校に通い、「学校教育」における学習を真面目に行ってきた者ほど馬鹿を見ることが多かった内容ではないでしょうか。

 

たった「70分」で思考力・表現力とやらが測定できるシロモノではなかったのが今回の試験だったように感じます。大問4の整数問題の桁数の多さなど、どこが思考力で表現力なのか理解に苦しみますし。なぜ同じ内容の計算を数字を変えて2回もやらなければならないのか。「11を5乗して、その答えに19をかけてから1引いて、さらに32で割る。」大臣は電卓なしでこれをやってみたのでしょうかね。

(即断即決の判断力だけは見ることが出来たかもしれませんが。試験中にコレは平均点は壊滅的に低いから、無理せず部分点を拾って耐えるゲームだと判断できた受験生はそれなりにスコアを残していますから。当然ですけど、そんなことが出来る受験生はほとんどいませんが。)

 

大臣はご存知ないかもしれませんのであえて書いておきたいのです。受験生のほとんどは

1年以上、もしかするともっと長い時間を大学受験にかけてきたのです。それを70分で切り捨てることなんてできないのが普通なんです。多くの人は。

 

思考力やら表現力はこれまでも2次試験で評価されてきたじゃないですか。共通1次でもセンター試験でも。

 

本当にごくごく一部の受験生を除いて下の方にかたまるこんな試験に何の意味があるのでしょうか。予備校で模試担当であれば始末書では済まないかもしれない失着レベルです。

 

中央にいると「この経験から来年度から」とか寝言が出てくるのかもしれませんが、基本的に受験生は1発勝負なんです。庶民からすればこのご時世で浪人することの経済的負担も大きいのです。

 

これで来年度の数学1・Aが出題傾向が大きく変わり、平均70点とかになったら、この大臣はなんと発言されるのでしょうかね?

そもそもの問題として、来年の今頃に「大臣」かどうかわかりませんけれど。